2014,04,29

しまむら/綻んだ戦略 仕立て直し 「高品質・高価格」探る




 「デフレの勝ち組み」 しまむらが苦しんでいる。 欧米ファストファッションが国内で出店を拡大し、「低価格」 や約1ヶ月で商品を入れ替える 「スピード戦略」 がしまむらの専売特許でなくなり、既存店売上高は昨秋から前年割れが目立つ。 アベノミックスで建設費など出店コストも上昇。 逆風が強まる中、デフレの寵児は再び輝くを取り戻せるか。




 千葉県鎌ヶ谷市のファッションセンターしまむらショッピングプラザ鎌ヶ谷店。 店の中央に新ブランド 「クロッシー」 の商品が整然と陳列されていた。 しまむらが 「復活」 をかけて2月末に発売したブランドだ。 



 フランス産の麻を使った白いシャツやニットカーディガンは1,900円。 1280~1480円の肌着は中国・新疆ウイグル自治区で作られる希少性が高い 「プラチナコットン」 を使っている。 これまでの商品より200~500円ほど高い。




 只デザインはベーシックで落ち着いた感じだが、特徴はあまりない。 なぜか。




 「昨秋から婦人服でトレンドがなくなっている」。 野中正人社長は3月31日の決算発表で嘆いた。 アベノミックスによる資産効果で百貨店で高級ブランドが売れに売れた2013年。 しまむらの主要顧客層である地方に住む主婦らの所得に大きな恩恵はなかった。




 トレンド不在を嘆くのは野中社長だけでなく、アパレル大手も同様で、ファッションビルの渋谷109の総支配人、中里研二氏は 「若者向けの婦人服はどこも似たり寄ったりになっている」 と指摘する。




 流行がなければ、約1ヶ月で商品を入れ替えするしまむらの 「早さ」 も生きず、欧米のファストファッションやインターネット通販の拡大で 「低価格」 の魅力も薄れた。




 2つの強みを奪われたしまむらが向かった先は、高品質・高価格だ。 既存ブランドで値上げをすれば更なる顧客離れを招きかねない。 そこで自社企画ブランド (PB) として、クロッシーを投入。 トレンド色を薄め、素材を重視した。 しまむら流の脱デフレ戦略だ。




 「コスト改革をやったつもりが、『つもり』 だった。 ぬるい感だった」。 野中社長は反省の弁を述べる。 販売低迷の原因を探ると、商品担当者が仕入れや在庫管理に忙殺され、売り場を見る余裕がなくなっていることが分かった。 野中社長は 「もう例外と言う言い訳は認めない」 とし、組織改革に着手。 業務を分けることにした。 




 野中社長は 「スピードが格段に上がった」 と手ごたえを感じ、販促もPB中心に切り替えている。 これまで値引き品が中心だったチラシ販促も3月以降はPB商品を前面に打ち出すようにした。




 野中正人社長に今後の戦略を聞いた。



 --2014年2月期の連結業績が低迷した要因は。



 「自分たちでトレンドを生み出せず、消費者に興味を持ってもらえなかった。 高品質な衣料品を求める消費者の需要を捉えきれず、商品展開のスピードが遅れ、在庫が膨らんだ。 一度の値下げでは売れきれず、再度の値下げを実施しなくてはならなくなり、利益率の低下を招いた」



 「チェーンストアは店舗の拡大に合わせて、運営の仕組みを変えないといけない。 変えているつもりだったが、過去の成功体験に引きずられていた。 現在の国内の1800点から2000点に拡大する為、コスト管理を改めて見直す。 今年はそのスタートの年になる」




 -ーどう運営方法を変えていく。


 「昨年は円安の影響で製造コストが上昇したが、店頭価格を据え置くために、質の落ちた商品が店頭に並んでしまった。 本当は昨秋に 『クロッシー』 など新しいPBを出そうとしたが、2月までずれ込んでしまった。 環境の変化に対応するのが遅れてしまった」


 「そこで商品の仕入れに特化した売り場管理部を新設したほか、業態ごとに分かれていた広告宣伝部門と販売企画部を統合し、社内で情報共有がしやすいようにした。 これまでは仕入れの担当者は商品を中心に考えており、コスト管理よりも販売高を重視する傾向が強かった。 組織を見直すことで、店舗運営のスピードを高めていく」




 --収益改善に向けた施策は。


 「2015年2月期は客単価も揚げていく。 上質なフレンチリネンを使うなど素材のよさにこだわった新たなPB 『クロッシー』 では、これまでのしまむらの商品よりも販売価格を高めに設定し、平均単価の引き上げにつなげる」


 「円安が続く中製造コストが25~30%上昇しており、中間コストを下げることは、これまで以上にやっていかないといけない。 『しまむらはローコスト経営だ』 と言われるが、事業を拡大する中で少しづつコスト意識が緩んでいった。 今後は検品作業など労務コストが安い中国で済ませる 『直流』 二夜仕入れの比率を高めるなど、一段とコスト削減を徹底していく」 (日経MJ)



 

  

  



   

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