2014,02,23

コンビニに限界なし セブンーイレブン・ジャパン社長 井坂隆一氏

       日経夕刊 「人間発見」 のコーナーのセブンーイレブン社長 井坂隆一氏のインタビュー記事のご紹介は今回で最後のご紹介になります。        1990年代後半から弁当、おにぎり、惣菜類の開発の責任者となる。      新商品がお店に並ぶ為には、役員試食でOkが必要です。 認められないと開発は振出です。 この試食会で11回連続して鈴木敏文会長から 「駄目、美味しくない。 やり直しだ」 と言われた商品があります。 「冷やし中華」 です。 当時の駄目出し回数最多の不名誉な記録でした。 何度も突き返されると、何が美味しくないのか、全く分からなくなってしまいました。      これでは開発のリーダーとして方向性を打ち出せません。 実際に作っている取引先にも迷惑が掛かります。 そこで鈴木会長に 「お好きな冷やし中華のお店を教えてください」 と頭を下げ、ある有名点を教えてもらったのです。      早速、開発メンバーとその店に何度か食べに行きました。 さすが有名店の味です。 美味しさに秘密は何か。 どうすれば分かるか考えました。 思いついたのは 「美味しさの見える化」 です。 麺の場合、グラフにして縦軸の硬さ、横軸の弾力とします。 それを知る為には名店の冷やし中華が必要です。 駄目もとで料理長に事情を話すと快く麺とつゆを分けてもらえたのです。 コンビにとめ移転では競合しないと思われたのでしょう。       開発メンバーの中の製麺会社の人から硬さや弾力を計測する機械をお借りして分析開始です。 すると明らかに自分たちの麺と名店の麺では数値が違っていました。 データを下にゼロからやり直した末にようやく鈴木会長からOKが出て、商品化にこぎつけることができました。       実は友人やメーカーの皆さんからは 「コンビにだからしょうがないんじゃない」 と言われることがありました。 こちらは一生懸命やっているのに、そう言われると悲しかったです。 だから 「うまい」 と言わせたかった。 部下とは 「 『しょうがない』 と言われないようにしよう」 と誓い合いました。        名店の味をベンチマークにして商品開発を加速させた。      料理専門家を招き、美味しさの研究を全社的な取り組みにしました。 先生たちから研修を受けていたとき、高校時代のことを思い出しました。 友達が遊びにくると母は決まってカレーでもてなします。 「井坂の家のカレーは何時も美味しいなぁ」 とみんなが褒めてくれましたね。 当時は母も喜び、自分も誇らしいと思っただけでしたが、その理由が先生との会話で分かりました。 「カレーは玉ねぎに始まり、玉ねぎに終わる」。 玉ねぎをあめ色になるまで炒め続けるのが決めてだったのです。 美味しさにそれなりの理由があることを知りました。      ただ家庭でも名店でも料理は鍋や釜で一食一色作りましが、私たちは何千食という単位で作ります。 家庭や名店の味を再現するためには調理器具の改良も欠かせません。 大量の玉ねぎを切って大型調理器具の試作機の前に立っていたときは涙が止まりませんでしたよ。 試作機を何度も作り直してようやく大量のあめ色の玉ねぎの出来上がりです。 おかげで美味しいカレーが作れました。      大量に食材を使用することで食材調達のコストが差上がり、計画的な調達は効率化に役立ちます。 一流を目指していくことに 「コンビニだから」 という制約が無い事を示しました。        2009年に同社初の生え抜き社長に就任する。      コンビニ業界の飽和説がささやかれていますが、私には理解できません。 高齢社会、女性の社会進出、単身世帯の増大、買い物弱者の存在、上質消費の拡大など世の中大きく変化しており、それに対応していくことで成長を続けること可能だと確信しているからです。 2009年秋からセブンイレブンのキャッチフレーズを 「近くて便利」 にしたのも、こうした社会的変化を背景にしています。      生活インフラとしての役割を担い、先日の大雪で交通が寸断された地域にヘリコプターで生活物資を届けました。       これからはもっと早いスピードでお店の中身は変わっていくでしょう。 「変わることに億劫になっていないか」 と自問自答しながら経営に携わっていきます。 今は役員会で試食する側になりましたが、商品開発で妥協しない姿勢は変わらないです。                           ツイートこの記事をつぶやく