2013,04,29

広告で「地震に弱い物件」を見分ける方法 耐震性、雨漏りリスクも広告からわかる!

                広告で「地震に弱い物件」を見分ける方法 耐震性、雨漏りリスクも広告からわかる!        「どんな広告にしたら、物件をより高く、より早く売ることができるだろうか?」      不動産会社では、日夜このような議論が交わされている。 広告をどれだけ魅力的にするかは、その物件が売れるかどうか、ひいては自分のボーナスや会社の業績に直結する、不動産会社の生命線だからだ。        もちろん、不動産広告には厳しいルールがあり、まったくのウソを書くことはできない。 だからこそ不動産業界は昔から、ある手口を磨いてきた。 それが、「勘違いと幻想を生み出す手口」 だ。 「こちらがだましたのではない。 お客さまが勘違いしただけだ」 「ウソは言っていない。 勝手に幻想を抱いていただけだ」 もちろん良心的な不動産会社も多いが、このような言い訳をできるギリギリのラインを狙った広告は、今でも数多く目にすることができる。 本連載では不動産広告の 「落とし穴」 を解説する書籍 『不動産広告を読め』 を上梓した筆者が、マイホーム購入で損をしないためのプロの 「眼」 を公開する。       4月13日の朝、兵庫県淡路島で震度6弱の地震が発生した。 まず、被害に遭われた方々に、心よりお見舞いを申し上げたい。        阪神淡路大震災、そして2011年の東日本大震災を想起せずにはいられなかった。 思えば東日本大震災以前に住宅購入で優先されてきたのは、「利便性」 だった。 駅へのアクセスや買い物施設への距離といったものを重視されるお客さまが多かったと思う。        しかし昨今は、それに加えて住宅の耐震性を重視される方が多くなった。 地震大国日本に住む以上、マイホームの耐震性を気にされるのは当然である。 そこで連載第2回ではまず、広告から建物の耐震性を見抜く術をお伝えしたい。      

 ミッション1 耐震性が不安な理由を見破れ!

       まずは、誰が見ても明らかに耐震性が不安な間取りをご覧いただきたい。 下の間取り図を見て、なぜ耐震性が心配かわかるだろうか?    
     
 この物件が危ないと考えられるのは、一辺の長さに対し、他の辺が極端に短いからである。        住宅は、当たり前だが 「真四角」 がいちばん安定している。 もちろん、地価の高いエリアでそのような建物を手に入れることは容易ではないが、この間取り図のような著しい長方形の家は、建物のバランスがよくないために、強風で建物が揺れたり、地震で歪みが起きたりする可能性が高いといえる。        とはいえ、この住宅が 「新耐震基準」 を満たしていれば、理屈の上ではそこまで不安に思う必要はない、とも言える。建物を建てる際の基準になる 「建築基準法」 において、昭和56(1981)年6月1以降から現在にいたるまで適用されている基準が、「新耐震基準」だ。        この基準に従った建物は、      1. 中程度の地震で倒壊しない      ことに加えて、      2. 震度6以上の地震でも、建物内部の人間の安全が保たれる       とされている。 要は、新耐震基準に基づいて建てられた建物なら、ある程度耐震性の面で安心できる、ということである。 これは、住宅購入を検討したことのない方でも、ご存知のことと思う。        それでは、それを踏まえて、下の2つの広告をご覧いただきたい。 これらの物件は、耐震上問題がないといえるだろうか。        
       
       「新耐震基準」 が適用されたのが昭和56年6月、広告によると建築年月はそれぞれ昭和56年の9月と昭和57年の2月だから、「どちらも 『新耐震基準』 が適用されている」 と思われるのではないか。 しかし、実はこの2つの物件は、いずれも 「旧耐震基準」 によって建てられたものであり、耐震性に問題がある可能性が非常に高いのだ。 実際、ここを誤解していて、後でトラブルになるケースが非常に多い。        では、昭和56年6月以降に建てられた住宅が、なぜ 「旧耐震基準」 なのだろうか?        気をつけなければならないのは、新耐震基準が適用されるのは、昭和56年6月1日以降に、「建築確認申請が出された建物」 であること。 決して、昭和56年6月1日以降に完成した建物ではないのである。        木造住宅ならば施工期間が平均して3~4カ月だから、最低昭和56年10月以降、マンションならば比較的小さな建物であっても施工期間が1年以上だから、昭和57年秋以降の物件でないと、新耐震基準が適用されている可能税は低いと思われるのだ。        恐ろしいことに、この時期、新耐震基準では施工費用も高くなるため、その前の基準で建築しようとする、駆け込み許可が多数あった。 こういった建物をつかまされないためにも、新耐震基準に基づいて建てられているかどうか、しっかりと確認する必要がある。      

 ミッション2 間取り図で雨漏りしやすい物件を見分けろ!

       住宅産業はクレーム産業といわれ、購入後にさまざまな問題が生じる。 その最たる例が 「雨漏り」 だ。 今、住んでいる家が雨漏りしていないと現実感がないかもしれないが、中古・新築関係なく、雨漏りは最も多いクレームのひとつである。      せっかくマイホームを買ったのに、雨のたびに雨漏りがすれば、生活が不便になるだけでなく、建物の寿命も著しく短くなる。 とはいえ、改修工事をしようとするとバカにならない金額がかかってしまう。 雨漏りは、物件にとって非常に「危険」なのである。        実は、雨漏りしやすいかどうかは、広告を見るだけである程度判断できる。 以下の2つの間取り図のうち、雨漏りしやすい物件がどちらか、見分けることができるだろうか?      
       
       ここで注目すべきは、建物の出っ張りや引っ込みだ。 専門用語では、それぞれ 「出隅」 「入隅」 という。 不整形な土地に建っていることも原因のひとつだが、上の物件は、あちらこちらに出っ張りや引っ込みがあるのがわかる。 こうした壁と壁の境目やつなぎ目は、防水工事がとてもやりづらく、二重で行うなどの施工が必要となる。 これが多い物件は、よほど施工技術がしっかりしていなければ、雨漏りのリスクが高いといえる。        よって、上の物件のほうが、雨漏りがしやすいと判断できるのだ。        また、間取り図には現れない雨漏りにつながるポイントとして、「軒の短さ」 が挙げられる。        日本古来の建築には、長い軒がせり出していた。 ところが、昨今の住宅事情により、敷地いっぱいに建物を建築するケースが増え、軒を長くすると隣の家の敷地に飛び出してしまうために、軒がとても短くなってきている。        雨が住まいに接触する方法は、上から降ってくる場合だけではない。 たとえば、吹き付ける雨や、風で巻き込むような雨によって、建物へ浸入する場合があるのだ。 軒はこのような巻き込む雨から建物を守る役目がある。 軒が極端に短い建物は、雨漏りの危険性が高いといえるので、物件を見に行く際の参考にしていただきたい。      

 ミッション3 広告で雨漏りしやすいマンションを見抜け!

       マンションの場合は、さらに判断材料が多くなる。 下の広告のうち、どちらが雨漏りしやすいだろうか?      
       
       マンションの場合に参考にできるのは、管理費や修繕積立金だ。      下の物件は、管理費が1万0620円、修繕積立金が1万2500円と、このクラスのマンションとしては標準的な値段である。 一方、上の物件は管理費が3440円、修繕積立金が2870円と、破格の設定になっている。        このように、管理費や修繕積立金の著しく安い物件には気をつけなければならない。 なぜならば、管理費や修繕積立金が安い物件は、当たり前だがきちんと管理・修繕されていないケースが多いのだ。        国土交通省の調査によると、25年以上の長期修繕計画に基づく修繕積立額を設定している分譲マンションは、わずか37%しかないといわれている。 また、かならず訪れる修繕工事にあたり、修繕積立金では足りずに、一時金などの徴収が必要になったマンションは、約21%もあるというデータもある。 こういった物件には、十分注意しなければならない。        なお、管理会社に依頼せず、自主管理を行っている物件も、監理が行き届いていない可能性が高く、オススメできない。      今回は、不動産広告に潜む 「危険」 について解説してきた。 勉強せずに住宅購入を検討するのがどれだけ危ないことか、わかっていただけたのではないだろうか。        広告に記載されている 「ほんの一言」 が数十万円・数百万円の違いを生み出す怖さを、ぜひ知っていただきたい。(toyokeizai.net)                       ツイートこの記事をつぶやく