2011,11,22

「悲しみに寄り添う小説」  作家  伊集院静氏

       先週の日経夕刊 「人間発見」 のコーナーに作家 伊集院静氏が取り上げられていのですが、ゴルフに出かけたり京都旅行に出かけたりしていたものですから紹介できなかった後半を紹介していきます。            高校卒業後に上京、立教大学に入学、野球部に入る。              父は私を自分の事業の後継にするつもりでした。 だから大学に入るなら経済学部がいいという考えだった。 母はいずれ帰ってきて後を継ぐのだから大学は美術でも音楽でもいい、好きなことをしなさいと言った。 そこで私は美術大学を目指し、授業が終わると、隣町まで石膏デッサンを習いに行きました。      ところが、その頃、私は一番上の姉が巨人の高橋明投手と結婚した。 一度野球を見に来なさいと誘われ、後楽園球場に試合を見に行った。 そこで長嶋茂雄さんに会ったのです。 長嶋さんは 「(自分の母校の) 立教に来なさいよ」 と誘ってくれ、バットとトレーナーを頂きました。 母の勧めで美術をやろうとしていた私は、満員の前でカクテル光線を浴びてプレーをしてる選手を見て、野球も良いなと思ったのです。 高校3年の冬に立教大学野球部のセレクションを受けることにしました。                           111122_115750        経済学部など4学部を受験しましたが、3学部は補欠で、文学部に行ってくれと言われました。 二つ返事で文学部に入ったのは女子学生がほとんどだったからです。 私が入った日本文学科は40人中、男は2人だけです。 入学すると野球部の寮に入り、野球漬けの生活が始まりました。 東京6大学の新人戦では4番を打った。 すぐにレギュラーになったのですが、1年後に野球肘になってしまった。 それで野球をあきらめました。              大学2年の時、進路を巡り遅々と対立。 その後、弟が海難事故で死亡する。          野球を退部した私に対し、父は大学を辞めて田舎に戻り、家業を継げと言い出しました。 説得のために帰京した私は 「親父が一代で事業を起こしたのだから、自分も一代で何かやる」 と後を継ぐのを拒否しました。 父は起こり、殴り合いのけんかになりました。 父は高校2年の弟に期待をかけ、医学部を目指すように言った。 総合病院を建てて経営させようと思ったのです。       その年の夏、弟は台風が近づく中、ボートを借りて沖に出て遭難した。 父は必死の救助活動をしましたが、嵐で捜索は難航、遺体が揚がるのは10日もかかった。 なぜ、弟はボートで沖まで行ったのか。 弟の死後、彼の日記を見ると、子供の頃、いじめに遭った自分を兄が助けてくれた感謝の思いがつづられていた。 その兄が嫌だというなら、自分が父の後を継ぐ。       ただ、医者になった後は父の許しを得て、冒険の旅に出たいと記されていた。 冒険家になりたかった弟は夏になるとボートで沖に出て、身体を鍛えていたのです。      弟の死で私は大きなショックを受けました。 そして私以外に父の後継はいなくなった。 でも家に帰ろうとは思いませんでした。 むしろ冒険家になりたかったという弟の遺志を継ぎ、私も自分のしたいことをしようと思いました。 父は仕送りをストップさせましたが、当時の東京にはいくらでも仕事があった。 横浜で荷揚げのアルバイトをして学費を稼ぎました。              大学卒業後、広告代理店に入社する。          以前、電通の人を知っていたので広告代理店も良いなと思って卒業後の5月にある会社を訪問しました。 その年の採用は終わっていましたが、偶然そこの社長が通りかかった。 「おまえ、身体が大きいな。 運動をやっていたのか」 と聞かれ、「野球を少し」 と答えました。 ちょうど翌週、どうしても勝ちたい会社対抗の試合があるので、それに出てみないかと言われました。 また社長の文章を清書してみろと文字も書かされました。 子供の頃、母から教わったので習字は得意です。 当時は韓国名を名乗っていたので 「日本人より字が上手いじゃないか」 と褒められ、野球の試合にも勝って採用が決まりました。        この会社に2年いて、その後はフリーで仕事をした。 この頃、ひょんなことから伊集院静と名乗ることになりました。 取引先の社長とプレゼンテーションに行く時、「趙君、今日はこう名乗ってください」 と示されたのがその名でした。 えっ、漫画みたいじゃないですかって抵抗したら、「はいからさんが通る」 という作品に伊集院という少尉が出てくるんです。 顧客に覚えてもらうにはこういう名前が良いんだと言われました。        これが、3回目のご紹介です。                 ツイートこの記事をつぶやく