2011,10,30

「言葉、この危険なるのも」 コピーライター  糸井重里氏。

       日経夕刊の 「人間発見」 にコピーライター 糸井重里氏が紹介されていて5回目です。 今回で最終回になります。          今年3月。 地震と原発事故を受け、読者と社員に何を語るか。 全力で言葉を探した。          13年間、インターネットのホームページ 「ほぼ日刊イトイ新聞」 に日々、文章を書いてきました。 毎日の訪問者は16万人、ページピュー(惣閲覧件数)なら100万を超えます。 逃げようがない。 ウソもつけません。 僕は決して非常時向きの人間ではないし、そのことを誇りにさえ思ってきました。 そんな僕が何を書けるか。      ネットなどには扇情的な発言が飛び交っています。 「ほぼ日」 に来る人は、専門家ではなく、僕と言う普通の人の言葉を確かめたいはず。 自分に 「落ち着け」 と言い聞かせ、ようやく 「じぶんのリーダーは、じぶん」 という言葉を絞り出したんです。      誰かが、政府は、テレビがこう言った。 そんな他人の言葉で動くとミスの連続になる。 人々が憲兵のようになり、倫理を上げた他人を責め始めたのにも恐ろしさを感じました。 自分の判断を大事にし、リスクを背負う。 あらゆる判断は尊い。 逃げる人も残る人も、互いに非難するのはやめよう。 そう呼びかけたんです。 僕自身は、専門家のうち 「異なった立場の人を攻撃しない」 の言葉を尊重することに決めました。      会社では社員を集め 「不安を基に動かないように」 と話しました。 心配や不安を抱えて動くと平常時でも危ない。 逃げまどえば足をすくわれる。 判断を間違えても、浮足立ってドブに落ちるよりはいい。 借金ゼロから貯金で2年は持つ。 その間稼ぐから3年は大丈夫。 被災地の分までこれまでの130%働こう。 1年後に 「焼け太りした」 と言われるくらい頑張ろう、と。              自分たちの強みであるアイデアで被災地を支えよう。 具体的な動きが始まった。          寄付金を送り終え、これから先はお金以外のことだな、と思いました。 まず 「ほぼ日手帳」 をなくした方に新品を無償でお届けしました。 作る人と使う人は一つのチームだと、改めて実感します。      11月1日には宮城県気仙沼市に事務所を開きます。 社員も常駐します。 普通の会社では許されないでしょうけど、事業計画は一切なし。 計画を立てると、計画の奴隷になってしまい 「何がしたかったのか」 という動機が消えてしまう。 頼まれ仕事はしません。 自分たちが面白いと思うことを全国に発信します。 無から有をどうつくるか。 ゲリラ的な社会の生き方を見せるつもりです。 2年後には 「何か」 になっていることでしょう。      震災は凄い経営者も浮かび上がらせました。 あるしゅうゆメーカーでは、設備が津波で全壊したのに、社員を集め先ず給料を払ったそうです。 この話を聞き、感動しました。 一方で、たっぷり金のある会社や経営者がコストをカットし、人を解雇する。 これでは価値を増やせません。 モノを作るのは人間だけ。 人へのメンテナンスこそが大切なのに。 社長に 「会社が存亡の危機だ」 と言われても、社員はどうしていいか分からない。 「厳しいけど大丈夫」 と語りのがリーダーではないでしょうか。              近年の 「節約」 志向に、やや異義がある。          消費は恋愛に似ています。 どちらも矛盾があり、喜びがあり、生きることそのもの。 不要だから削っていくと、魂も小さくなる。       消費の喜びは、ものと心の掛算に有ります。 バブルのころは、本当に欲しいものじゃないから、代わりに量をいっぱい買っていたんでしょう。 大量生産、大量販売に豊かさはない。 差異が出来ないもの、人の思い、丁寧な仕事、長い時間や歴史、ものに込めた世界観。 それが価値なんです。 僕らが提供していくのはそういうものです。      その良さを伝えるためにこそ、自分の言葉を使っています。 僕はもう広告のコピーの仕事はしていましけど、言葉やアイデアで価値を増やすという意味では、生涯コピーライターのつもりです。        「資本主義の犬」 「1行100万円 (の楽な仕事)」など、いろいろ言われてきました。 でも悪口は誰の価値も増やさない。 「ペンは剣より強し、だから武器よさらば」。 攻撃のための言葉ではなく皆の価値を増やす言葉を、現場から紡いで行くつもりです。          如何でした?  なるほどコピーライターらしい言葉を大切にして仕事をしているんだなって感じます。  これからも活躍して欲しいですね!        あわせて1回目を読む。  2回目を読む。  3回目を読む。  4回目を読む。                    ツイートこの記事をつぶやく